5　肝カン切除セツジョ術ジュツの不法フホウ行為コウイ
争点ソウテン
（原告ゲンコク主張シュチョウ） （被告ヒコク主張シュチョウ）
①胃癌の多発的肝転移に対する治療法として「肝切除術＋MCT」ないし減量手術が客観的に合理性が検証された治療法であるか ①本件ホンケンのような胃癌イガンからの肝カン転移テンイに対タイする治療法チリョウホウとして、他タのいくつかの治療法チリョウホウとともに「減量ゲンリョウ手術シュジュツ＋MCT」という方法ホウホウを患者カンジャに提示テイジすることの是非ゼヒ（原告ゲンコク主張シュチョウの②は結局ケッキョクこの点テンにかかるものである。）。
②被告が術前に原告らに説明した内容が真実であったか、合理性ゴウリセイが存ソンしたか ②本件ホンケン手術シュジュツが適切テキセツに行オコナわれたものであるかどうか。
③平成ヘイセイ9年ネン4月ツキ21日ニチ肝カン切除セツジョ術ジュツにおける「危険キケンな術式ジュツシキ変更ヘンコウ」「横行オウコウ結腸ケッチョウ損傷ソンショウ」「肝カン門モン部ブ大ダイ血管ケッカン損傷ソンショウ」「杜撰ズサンな切キ離ハナ」の有無ウム
Ｅ　術後説明
原ハラ　告コク　主シュ　張ハリ 被ヒ　告コク　主シュ　張ハリ
［4月ツキ21日ニチ午後ゴゴ9時ジ過スぎ（手術シュジュツ終了シュウリョウ直後チョクゴ）説明セツメイ・KH　相手アイテ・幸代サチヨ、雷カミナリ太フト］ 　
KH「手術は成功です。卵大の腫瘍は下大静脈、右腎、右副腎、横行結腸に癒着していた。肝臓の中で腫瘍が占める割合が予想以上であった。右葉を全部切除すると肝機能の回復が危ぶまれた。」 「手術シュジュツは成功セイコウ」と述ノべた点テンは×
原告らは、「手術の成功を望む家族の心情を利用し、虚実取り混ぜた話を行い自分らに対する不信感を生じさせないように図ったものであった．」と主張するが、KH医師の説明のどこが虚偽であるのか明らかにしていない．いずれにしても、原告らの主張は、悪意に満ちており、被告らを故意に貶めようとするもの以外の何物でもない．「虚実を取り混ぜた話」というのは原告らの主張のことをいうのである．
「手術は、右葉後区域及び尾状葉二分の一の切除と卵大腫瘍に癒着した右腎、右副腎、横行結腸の切除を実施した。肝臓の後ろ側まで癌があり、見えないところまで癌を切除しなければならず、見えない部分まで全部とれたかは確信がない。」 術後ジュツゴの説明セツメイについては、下記カキのとおりである。
「出血が予想以上あった。5000ml位の出血は予想していたが、その倍ぐらいの出血になった。小さい癌に対するＭＣＴは実施していない。横行結腸を切除したため準汚染手術になったからである。」 　
「小さい癌は容態が落ち着いた後、体の外から針を入れて焼くなどの方法でコントロールできる。手術後3日位で肺のドレーンを抜き、そうしたらＩＣＵを出られる。術後10日位で食事ができるようになる。」 　
［4月ツキ26日ニチ　説明セツメイ・NJ　相手アイテ・幸代サチヨ、雄オス仁ジン、信シン恭キョウ、雷カミナリ太フト］ 　
事前ジゼンにNJ、KH両リョウ名メイとの面談メンダンを求モトめたが、NJ単独タンドクの面談メンダンになった。 　
NJ「尾オ状ジョウ葉ハを掘ホる手術シュジュツをした。」 　
「手術シュジュツ中チュウと手術後シュジュツゴ、大オオきな出血シュッケツがあり、手術後シュジュツゴ肝カン動脈ドウミャクに止血剤シケツザイを入イれた。」 　
「肝カン不全フゼンの前マエ状態ジョウタイである。GOT,GPTが水スイ、木モクに3000台ダイ、今日キョウは400台ダイ。アンモニア110、ビリルビン8。アンモニア150で意識イシキ混濁コンダク、ビリルビン10超チョウが3日ニチ続ツヅくと血液ケツエキ透析トウセキ必要ヒツヨウ。」 　
「水分スイブンが肺ハイに溜タまっている。今後コンゴの問題モンダイは肝カン不全フゼン。」 　
「部分的ブブンテキ凝固ギョウコ能ノウ低下テイカがあり、身体シンタイ全体ゼンタイの凝固ギョウコ能ノウ低下テイカ（DIC）起オきると多臓器タゾウキ不全フゼン（MOF）起オこし、死亡シボウ原因ゲンインになる。メルクマールは腎臓ジンゾウ障害ショウガイを起オこさせないこと。」 　
「前マエの手術シュジュツの影響エイキョウを除去ジョキョするのに12時ジ30分フンまでかかった。術前ジュツゼンに右ミギ副腎フクジン、右ミギ腎臓ジンゾウ、下シタ大ダイ静脈ジョウミャクとの癒着ユチャクは予想ヨソウしたが、横行オウコウ結腸ケッチョウの腸チョウ間カン膜マクとも癒着ユチャクしていた。腸チョウ間カン膜マクから血液ケツエキを受ウける横行オウコウ結腸ケッチョウの部分ブブンも切除セツジョした。」 　
「直接チョクセツエコーをかけ、左ヒダリ葉ハの腫瘍シュヨウが予想ヨソウ以上イジョウで、右ミギ葉ハ切除セツジョでは手術後シュジュツゴ直タダちに肝カン不全フゼンを起オこす。従シタガって、後アト区域クイキ切除セツジョに変更ヘンコウした。」 　
「卵タマゴ大ダイの腫瘍シュヨウは根ネが深フカく、横穴ヨコアナを掘ホってその先サキで上ウエ方ホウに縦穴タテアナを掘ホるような手術シュジュツになり、尾オ状ジョウ葉ハに伸ノびた部分ブブンを残ノコした。4時ジころまで掘ホった。」 　
「横行オウコウ結腸ケッチョウ切除セツジョで感染カンセンのおそれがあり、焼ヤくのは止ヤめた。肝カン門モン部ブのリンパ節セツも腫脹シュチョウしていたがとれなかった。」 　
「現在ゲンザイの状況ジョウキョウが回復カイフクしたら、免疫メンエキ力リョクを高タカめる薬クスリ、弱ヨワい制セイガン剤ザイを投与トウヨしたい。」 　
幸代サチヨ「胃癌イガン手術シュジュツの後アト、ちゃんと検査ケンサを受ウけていれば悪ワルくなる前マエにわかったのではないかと思オモい、心残ココロノコりです。」 　
NJ「山口ヤマグチさんはしっかりと病ビョウ識イシキがあり、検査ケンサは定期テイキに受ウけていました。今度コンド検査ケンサをしましょうと言イったときに先延サキノばしにされることはありませんでした。」 　
「病理ビョウリ検査ケンサの結果ケッカが連休レンキュウ明アけに出デますから、本人ホンニンの体力タイリョクが回復カイフクした時点ジテンでガンの治療チリョウについて面談メンダンしましょう。」 　
4月ツキ21日ニチ肝カン切除セツジョ術ジュツ後ゴに行オコナわれたKHの説明セツメイは、手術の成功を望む家族の心情を利用し、虚実取り混ぜた話を行い自分らに対する不信感を生じさせないように図ったものであった。この術後説明を聞いて幸代、雷太は一旦帰宅したが、その直後に前項の術後出血が発生している。 　　原告らは、「手術の成功を望む家族の心情を利用し、虚実取り混ぜた話を行い自分らに対する不信感を生じさせないように図ったものであった．」と主張するが、KH医師の説明のどこが虚偽であるのか明らかにしていない．いずれにしても、原告らの主張は、悪意に満ちており、被告らを故意に貶めようとするもの以外の何物でもない．「虚実を取り混ぜた話」というのは原告らの主張のことをいうのである．
4月ツキ26日ニチのNJの説明セツメイの際サイ、既スデに次項ジコウのとおり致命的チメイテキな術後ジュツゴ肝カン不全フゼンが発症ハッショウしていた。しかし、NJの説明セツメイは、與ヨ志ココロザシ廣ヒロの回復カイフクを望ノゾむ家族カゾクの心情シンジョウを利用リヨウし、自分ジブンらに対タイする不信フシンを生ショウじさせないよう図ハカったものであった。手術シュジュツの説明セツメイも事実ジジツと異コトなるし、KHの説明セツメイとも異コトなる。 術後、KHは原告幸代らに対して、概略次のように説明した。
［証拠ショウコ］ 　(1)、術式を、①横行結腸合併切除、吻合、②右後区域切除＋尾状葉2分の1切除、に変更した（理由は前記のとおりーこれも説明している）。
4/21説明セツメイ　甲コウ9,5/15,8丁チョウ、同ドウ5/29,10丁チョウ、同ドウ7/1,6丁チョウ 　残肝の転移性腫瘍に対しては、未治療である。出血も多く、肝機能も不良で、これ以上の侵襲は良くないと考えたからである。
カルテ　甲コウ16,1-47,甲コウ17,7-1,5 　
カルテ分析ブンセキ　医師イシ記載キサイ：甲コウ10,p80／説明セツメイ記録キロク：甲コウ10,p97 　術後早期に残存の癌に対する治療をする。
4/26説明セツメイ　甲コウ9,5/15,16丁チョウ、同ドウ5/29,15丁チョウ、同ドウ7/1,6丁チョウ 　手術時間が長かったのは、止血に難渋したためである。
カルテ　甲コウ16,1-61,62 　
カルテ分析ブンセキ　医師イシ記載キサイ：甲コウ10,p84,85 　(2)、今後は、出血、肺炎、心不全、脳の合併症、肝不全、DICなどの合併症の危険がある。
その後ゴの説明セツメイ 　DICに対しては、FOYの投与を開始。
5月ツキ2日ニチ　甲コウ9,5/15,30丁チョウ、同ドウ5/29,15丁チョウ 前記のように止血操作に十分な時間をかけ、かつ止血を確認した後に閉腹したものであるが、午後10時15分ころに術後出血がみられるようになった。
5月ツキ3日ニチ　甲コウ9,5/15,33丁チョウ、同ドウ7/1,10丁チョウ 　このため、同日午後11時ころ、原告らの了承を得たうえで、緊急血管造影を行い、止血目的で経動脈性塞栓術を行う。
5月ツキ4日ニチ　甲コウ9,5/29,38丁チョウ 　その後、原告らに概要次のとおり説明した。
カルテ　甲コウ16,1-83以下イカ,甲コウ17-3,4,5 　
カルテ分析ブンセキ　医師イシ説明セツメイ：甲コウ10,p91／説明セツメイ記録キロク：甲コウ10,p97 　(1)、家族が帰宅した直後に大量出血を来した。残肝部分（切離面）からの出血と考えられる。
　 　これに対する治療としては、手術と経動脈性塞栓術が考えられるが、術直後の再手術は、肝、呼吸器、心ともに影響が大きい、経動脈性塞栓術による止血が期待できる、という理由で、経動脈性塞栓術を施行した。
　 　(2)、今後は出血の様子をみていく。
　 　1時間あたり100ml以上の出血が3時間続いた場合、1時間あたり200ml以上の出血が2時間続いた場合、1時間あたり600ml以上の出血があった場合は、再開腹も考えねはならないが、できればそれは避けたい。